2012年5月 人生2回時代におけるキャリア形成の標準モデル
平均寿命65歳の時代には、いわゆる高齢者は介護や医療を必要とする虚弱者のイメージが強かった。また高齢期の人生についても、余生とか老後といったように否定的に捉えられがちであった。しかし平均寿命90歳も夢ではなくなった今、65歳以上を虚弱な高齢者として扱うことに多くの人が疑問を感じている。
実際、高齢者が虚弱である期間は比較的短く、高齢期の大部分の期間はほぼ健常である。しかも高齢期がここまで長くなってくると、もはやそれを余生とは呼べず、2回目の人生と呼ぶべきである。
ところで2回目の人生とはどのような人生なのか。それは単に定年延長によって従来の会社人生を引き伸ばす。あるいはより長い余生を送ることではない。新たにもう1回の人生を用意するのだ。高齢期の身体や精神の特性に適合し、今まで蓄積してきた知識や経験を活かせる活動を行うことである。社会を支えるための何らかの役割を持ち、生きがいのある新たな人生を始めてこそ2回目の人生といえる。
そのために必要なのは、高齢期の健康や能力の特性を把握し、若いうちから健康長寿を目指すことである。それらを踏まえ、高齢期の新たな職域開発、あるいは学習やキャリア形成はどうあるべきかなど、考えるべき課題は多い。これからの高齢社会では、若者にとっても、将来の「2回の人生」に向けた人生設計の夢と希望が膨らむ。
わが国では少子高齢化が進み、社会の人口構成も平均寿命65歳の時代から大きく変わってきた。そんな高齢社会を持続可能なものにしていくためにも、これまでのように高齢者を一律に支えられる側として捉えるのではなく、元気な高齢者には社会を支える側に回ってもらうことが望まれる。そのため人生設計の標準モデルも、高齢期に活躍することを前提としたものに変えていかなければならない。そして教育学習を通じたキャリア形成のあり方についても、従来の「1度きりの人生」時代の標準モデルではなく、「人生2回」時代の新たな標準モデルを考えていく必要がある(下図)。
2012年5月1日 特定非営利活動法人 日本シンクタンク・アカデミー 理事長 岡本憲之
教育学習・キャリア形成から見た人生設計の標準モデル

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